ここでは特徴的な症例について、一部をご紹介いたします。
※手術の写真を掲載しておりますので、苦手な方はご注意ください。
小滝橋動物病院グループ全体の外科症例件数については、>こちらをご参照ください。

犬の膿皮症について

目次


膿皮症とは


膿皮症は、犬の皮膚の上にいる常在細菌であるブドウ球菌が増えて起こる疾患です。ブドウ球菌の増殖は、皮膚バリア機能が何らかの原因により低下することで起こります。
ブドウ球菌は毒素を出す細菌のため、皮膚炎を起こし、皮が剥け、毛穴の炎症が起きると膿疱を作ることがあります。皮膚の症状は、環状に皮膚がむけて紅くなったり、お腹などに白色や、黄色、赤色など、炎症の度合いによるのですが膿疱ができたりします。また、痒みの度合いはそれぞれで強い痒みを示す場合や、全く痒みを生じない場合もあります。



原因


膿皮症が起こる原因としては、「皮膚バリアの低下」が起こる疾患が関与しています。
代表的なものは、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーやノミダニアレルギーなどのアレルギー疾患です。また、甲状腺機能低下症や副腎皮質機能亢進症など内分泌疾患によっても皮膚バリア機能が落ちることがあります。
また、稀なケースですが皮膚型リンパ腫などの癌が原因だったという事も考えられます。



診断


診断は、表皮の菌の状態を「皮膚押捺検査」という表皮に透明なガラスを押し付け、染色をし、顕微鏡で観察する細胞診検査を実施します。
実は、膿皮症の皮膚の見た目が、天疱瘡や真菌症などといった他の疾患と似ている場合があります。病気を的確に診断するために検査を行う必要があります。



治療


治療は
1:表皮に増えてしまった細菌のコントロール
2:基礎疾患のコントロール
この2つを目的に行います。
具体的には、細菌のコントロールは抗生剤の内服や外用薬を使います。
また、シャンプーなどを用いてスキンケア療法も併せていきます。
近年、ブドウ球菌に多剤耐性菌という種類が報告され医療現場では問題になっています。多剤耐性菌とは、抗生剤に対して耐性を持つ菌のことです。細菌培養薬剤感受性試験という検査を用いて、菌にどの抗生剤が有効であるかを調べ、どう治療して行くかを考えなければなりません。
また、
内分泌疾患やアレルギー性疾患が疑われる場合は、診断のために血液検査を実施し、場合によっては、試験的にアトピーのお薬の投薬を実施する場合もあります。


まとめ

膿皮症は、単純に表皮の細菌感染だけではなく、全身的な内科疾患が関わり発症します。動物病院で、必要な検査を受け、的確な診断、治療を受けることをお勧めします。



執筆担当:獣医師 竹尾 記子
東京都豊島区南長崎2-2-1 軟部外科に特化した目白通り高度医療センター トップページはこちら>>
TEL:03-3565-6596
ネット予約はこちら>>